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なぜ成年後見よりも家族信託をおすすめするのか?

「我が家は資産家ではないから、家族信託は関係ないでしょ?」、「いざとなったら成年後見で対応すれば十分!」。巷では、まだまだ家族信託は浸透してません。親の介護・医療・施設費用が家計に大きく響く一般の家庭でこそ「家族信託」が役立つのです。
1.「家族信託」の仕組み
「家族信託」とは、自分や家族で作ったルールに基づいて「財産管理」を行う仕組みです。家族信託では、自分の財産を家族など信頼できる人に託し、その人が、自分(財産を託した人)や家族など特定の人のために、その財産を管理・運用・処分します。
例えば、高齢の父親が自分で財産管理するのが不安になったときに、息子に財産を預けて、自分のために管理・運用・処分などのサポートをしてもらうというイメージです。
日本では超高齢化が進み、2025年(令和7年)には65歳以上が約3人に1人、75歳以上も約5人に1人という状況にあると見られています。それに伴い、高齢者の認知症の発症リスクも高まっています。
実際、本人が認知症の場合、「自分自身で財産管理を行う」「不動産の売却をする」などの管理・運用・処分ができなくなり、認知症による資産凍結は社会問題・課題になっています。
このような背景を踏まえて、2007年(平成19年)9月30日に施行された信託法改正によって民事信託がより活用されやすくなり、「家族信託」は高齢化社会の認知症対策として注目されるようになりました。なお、家族信託は成年後見制度とは違って、家族で柔軟にルールを設計できる点がメリットです。さらに、家族信託は相続対策としての「財産承継」にも利用できます。

2.認知症による“資産凍結”を防ぐために
①家族信託は「将来、認知症になったときの備え」
家族信託の仕組みを使うと、財産を託す「委託者」から、財産を託される「受託者」へ信託した財産の「所有権(実際は所有権のうちの名義・管理処分権)」が移転します。
この仕組みによって、たとえ財産の持ち主である「委託者」や、財産から生じる利益を受け取る「受益者」が認知症になった場合でも、受託者がその権限で不動産を売却したり、         預貯金を管理・運用したり処分することが可能になります。つまり、家族信託を活用することで「資産凍結のリスク」を未然に防ぐことができるのです。

②家族信託と相続との違いについて
「相続」と「家族信託」の違いについて整理しておきましょう。
「相続」は、亡くなった人(被相続人)の財産や債務(借金など)を含む一切の権利・義務を、残された家族などの相続人が引き継ぐことです。つまり、人が亡くなったあとに自動的に発生する財産などの「事後の」承継手続です。
他方、「家族信託」は、本人が元気なうちに家族と話し合い、財産の管理・運用・処分や承継の方法をあらかじめ決めておく「事前」の仕組み”です。
相続は「死後に自動的に発生するもの」、家族信託は「生前に自分で財産管理の方法を決めておける仕組み」という点が大きな違いです。
ただし、まったく無関係のものとも言いきれません。家族信託には、財産管理の仕組みだけでなく、相続発生後に財産の承継方法をあらかじめ決めておける「遺言」のような機能も備わっています。
つまり、家族信託は「生前の財産管理」から「相続後の財産承継」までを、一貫して準備できる仕組みなのです。家族信託を活用するときは、将来の相続まで見据えた仕組みを設計しておくことが必要となります。

3.家族信託の仕組みは難しくない!
「家族信託」と聞くと、「信託」という言葉に引っかかり、何だか難しそうな印象を抱くかもしれません。また、「家族」という言葉が入っているため、「家族の間でしかできないの?」と誤解されがちですが、実際には家族以外の人を受託者にすることも可能です。
家族信託の仕組み自体は、実はとても単純です。「委託者」から見て「受託者」は信頼できるパートナーや友人(血縁関係のない人)の間でも家族信託は利用できます。まずは「自分の財産を信頼できる誰かに託す仕組み」として平易に考えてみてください。
家族信託には、成年後見制度や遺言では実現しづらい「柔軟さ」と「自由さ」があります。ここでは代表的なメリットをご紹介します。
①財産管理者を自分自身で決められる
成年後見制度では、財産管理者である成年後見人等は家庭裁判所が選任するので、家族が成年後見人等になることを希望した場合でも、必ずその通りにはいかないことがあります。
他方、家族信託は、本人(委託者)と財産管理者(受託者)との契約によって設定されるので、家庭裁判所などの他人によって財産管理者を一方的に決められるといったことはありません。ただし、成年後見制度でも「任意後見」というものを使えば将来の財産管理者をあらかじめ決めておくことができますので、「財産管理者を自分自身で決められる」というメリットは家族信託独自のものではありません。
②裁判所の関与がなく、自由に運用できる
成年後見制度では、財産管理者である成年後見人等が定期的に財産管理などの状況を裁判所へ報告しなければなりません。報告書は一定の様式で提出する必要もあるので、慣れていないとなかなかに大変です。また、成年後見制度では不動産を売却する際に、裁判所の許可が必要になることもあります。

他方、家族信託であれば、委託者である本人と財産管理者である受託者の間の契約で成立し、裁判所への報告義務はありません。したがって、規定の報告書のようなものは必要ないので、報告書の様式などは関係者で自由に定めることができます。
また、家族信託では、信託の目的を実現するためであれば受託者が単独で不動産を売却して処分することもできるので、円滑に手続きが進めることができ、柔軟な資産運用が可能になります。
③財産管理のランニングコストがかからない
成年後見制度では家庭裁判所によって成年後見人等が決められるため、司法書士などの専門家が成年後見人等に選ばれた場合、報酬が発生します。財産規模にもよりますが、管理財産が1,000万円から5,000万円の場合は月額3万円から4万円程度、5,000万円を超える場合には月額5万円から6万円程度の報酬が、原則として本人が亡くなるまでの間に発生することになります。
仮に月額報酬が3万円(1年間で36万円)で10年間、専門家の人が成年後見人等の業務を行った場合、「360万円 = 36万円/年 × 10年間」分の報酬が発生します。
家族信託では、受託者の報酬を0円に設定することも可能です。これにより、ランニングコストをかけずに運用することができます。
④資産運用・処分も可能
家族信託であれば「信託の目的」に沿って、資産運用を行うことも可能です。
信託契約では、「信託財産」の管理・運用・処分の方針を具体的に定めることができます。これにより、受益者の利益や資産の有効活用を目的とした運用行為も可能になります。
例えば、信託契約書の中に「信託財産である土地のうえに建物を建築して賃貸する」といった内容を明記しておけば、委託者の意向に基づき、受託者は更地にアパートを建てて、賃貸経営を行うことができます。その結果、所有する不動産の価値を活用して資産を増やすことができます。このような活用が、「資産運用」にあたります。
つまり、契約内容次第で柔軟な運用ができる点が、家族信託の大きなメリットの1つです。
他方、成年後見制度では、本人の財産の管理や保全、そしてやむを得ない事情がある場合の処分(売却など)に限って行為が認められ、資産運用は原則として認められません。成年後見制度の目的は、本人の財産を保護し、その不利益を防ぐことです。そのため、成年後見人等は、本人の財産を守ることが最優先であり、リスクを伴う運用行為は原則として許されません。
例えば、更地にアパートを建築する場合、建築費用や空室等運営リスクが伴います。このような財産の活用は、成年後見制度における「財産の保全」という目的に反する可能性

2.家族信託の注意点                                                                                                 成年後見よりもおすすめの家族信託ですが、制度の特徴を理解し、適切な選択をするためには、利用上の注意点にも目を向けておくことが大切です。                             ①家族信託に詳しい専門家のサポートが必要になる                                                                                            家族信託の契約書作成や信託財産に不動産が含まれる場合の登記手続きなどには、信託法という法律知識が必要不可欠です。はっきり言ってこの手続きは、素人だけで行うのは難しく、個人的には専門家に依頼することをお勧めします。ただし、専門家へ依頼した場合には、当然報酬の支払いが必要になります。
また、司法書士などの専門家に家族信託の手続きをお願いしても、知識や実務経験が少なくて対応ができない場合もあります。実は、家族信託の実務に詳しい専門家はまだ多くないのが現状です。信頼できる家族信託の専門家を見つけられるかどうかが、家族信託を上手に活用するうえで大切なことです。
②信託できる財産には制限がある
家族信託で管理できるのは、法律上「信託できる」と定められている財産に限られます。例えば、金銭や不動産は信託できますが、年金受給権や農地などは信託の対象外です。そのため、家族信託だけですべての資産をカバーすることは難しく、対象外の財産の管理や承継には別の対策を検討する必要があります。
③本人(委託者)の身の回りのことを代理する権利がない
成年後見制度は財産管理だけではなく、本人の生活や医療、施設入居などに関する代理権である「身上監護権」が認められていますが、家族信託にはこの機能がありません。家族信託でできることは、信託契約で定めた財産の管理・運用・処分に限られます。
例えば、認知症を発症した父親(委託者)の代わりに、老人ホームなどの施設へ入居契約を結ぶことは、「受託者の権限」では対応できません。

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