宇都宮市東宿郷 お電話でのご相談・お問合せは
TEL.028-306-1605お知らせ
notice
~速報~任意後見の改正について
~速報~任意後見の改正について
改正民法は2026年6月17日に成立し、2026年6月24日に公布されました(民法等の一部を改正する法律・令和8年法律第45号)。ただし施行はこれからで、成年後見制度の見直しは遅くとも2028年12月24日までに施行される見込みとなってます。
任意後見では、任意後見監督人が「不要」になるケースが新設されるなど、おひとりさま対策や家族での財産管理がしやすくなるといえます。
ただし、親の判断能力がすでに低下している場合は、改正を待つ余裕はありません。元気なうちの備え(任意後見・家族信託)の重要性は、改正後はむしろ高まっています。
なお、今回の改正は、一方では手続上の負担を軽減したり柔軟な対応を可能としたりと工夫が多い反面、他方では「申立ててみなければ分からない。」といった運用上の不透明さや不都合さが残されているため、必ずしも使い勝手がよいというわけではないようです。そのため、新たな「補助」「任意後見」の手続を選択するに当たっては、このような「不都合さ」や「不透明さ」を十分に留意し・覚悟することが必要となってきます。
以下では、任意後見の改正点について、説明します。
その1~改正点1 任意後見監督人が「不要」になる可能性がある
これがいちばんもっとも重大な変更点です。現行制度では、任意後見は「任意後見監督人」申立手続を経たうえで同手続において家裁に監督人が選ばれてはじめて「任意後見」の効力が生じ、監督人は必ず付き、その報酬が本人の財産から払われ続ける仕組みでした。この監督人コストが、任意後見を使いにくくしている一因でした。
改正後は、効力が生じる初動となる手続が「任意後見開始の審判」に変わります。そのうえで、家庭裁判所は原則として任意後見監督人を選任しますが、明らかに監督の必要がないと認めるときは、監督人を選任しないことができるようになります。あくまで例外的な取扱いですが、監督人が付かない場合は、その分の継続的なコストもかかりません。信頼できる家族などを受任者にしておけば、軽い負担で備えられる可能性が出てきます。おひとりさまや、家族で財産管理をしたい方にとって、選択肢が広がる改正です。
ただし、監督人を選任するかどうかは、本人の財産状況、受任者との関係、利益相反や不正防止の必要性などをふまえた家庭裁判所の判断にゆだねられます。監督人は後見人の不正を防ぐ安全装置でもあり、外すことには相応のリスクが伴います。「監督人は必ず不要になる」という話ではない点に、注意が必要です。
もう一点、公布された法律で明確になったのは、監督人が付かない場合は家庭裁判所が直接監督するという点です。法務省の資料も「家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督することが可能」と整理しています。監督がなくなるのではなく、監督の担い手が監督人から家庭裁判所に移ると理解するのが正確です。
その2~改正点2 予備的な受任者を備えることが可能に(効力が生じる順序を定める合意)
任意後見契約は、たとえば「将来の財産管理は長女に任せたい」と考えて、元気なうちに結んでおくものです。ところが、実際に必要になるのは何年も先のこと。その間に、任せるはずだった長女が先に亡くなる、病気になる、遠方に住んで引き受けられなくなる、といったことが起こり得ます。こうなると、せっかく結んだ契約が機能せず、結局は家庭裁判所が選ぶ法定後見に頼るしかない、という事態になりかねませんでした。
改正後は、こうした事態に備えて「控えの受任者」をあらかじめ用意しておけるようになります。具体的には、第一候補(長男)との契約とは別に、第二候補(たとえば二女や専門家)との契約も結んでおき、そのうえで「第一候補が亡くなるなどして欠けるまでは、第二候補の任意後見は開始しない」という合意を付けておく方法です。これを「不開始の合意」と呼びます。控えの契約は、第一候補に万一のことがあったときにはじめて出番が来る、いわば予備として待機する形になります。
その3~改正点3 補助を使い始めても任意後見契約は終わらない
現行制度の落とし穴のひとつが、ここです。任意後見契約を結んでいても、途中で法定後見(後見・保佐・補助)が開始されると、任意後見契約は終了してしまいます。「この人に任せたい」と決めて備えていたのに、家庭裁判所が選ぶ後見人にすべて置き換わる、ということが起こり得ました。
改正後は、補助の制度の利用を開始しても、任意後見契約の存続が認められるようになります。法定後見が補助に一元化されることとあわせて読むと、「本人が自分で決めた任意後見」と「家庭裁判所が関与する補助」を並行して使えるようになる、という意味です。権限が重複しないよう、補助人に与える代理権の範囲を適切に設定することが基本とされ、それでも調整が必要な場合に備えて任意後見契約の一部解除のルールも新設されます。事前の備えが後から無効化されない点で、任意後見を選ぶ意味が大きくなる改正です。
その4~改正点4 本人が公正証書で指定した人も発動の申立てが可能に
任意後見の最大の弱点は、「契約はあるのに使われない」ことでした。契約を結んでいても、本人の判断能力が低下したときに家庭裁判所への発動の手続(現行では任意後見監督人の選任申立て手続)をする人がいなければ、契約は発動しないままになります。現行法は申立てができる人を親族または任意後見受任者に限定しているため、身寄りのない方ほどこの点の不備が深刻となってました。
改正後は、本人が公正証書によって指定した者も、任意後見契約を発効させる裁判手続の申立てができるようになります。親族以外でもよく、たとえば日常の生活状況を把握している人に、発効の申立てを託しておけます。おひとりさまや、親族と距離のある方にとっては、この一点だけでも任意後見の実用性が変わります。なお、補助開始の審判の申立てなどについても、同様の手当てがされます。
その5~改正点5 任意後見契約の「変更・一部解除」が可能に
任意後見契約は、元気なうちに、実際に使うずっと前に結ぶものです。そのため、契約してから実際に使うまでの間に、状況が大きく変わってしまうことが十分にありえます。たとえば、結婚や離婚で家族構成が変わる、任せる予定だった人の事情が変わる、不動産を売却して財産の中身が変わる、といった具合です。
にもかかわらず、現行では、いったん結んだ契約を柔軟に見直すルールが十分に整っていませんでした。
改正後は、まず、契約内容の変更は公正証書によって行うことが明確にされました。
次に、解除は方法が分かれます。任意後見が始まる前(開始の審判前)であれば、本人または受任者は、公証人の認証を受けた書面または電磁的記録によって、契約の全部または一部を解除できます。任意後見が始まった後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て解除する、という整理です。変更と解除で手続きが違う点は、押さえておくとよいでしょう。
その6~すでに任意後見契約を結んでいる方はどうなるのか
改正法の附則では、施行日前に締結された任意後見契約にも、改正後の任意後見契約法が適用されます(旧法のもとで生じた契約の効力は維持されます)。つまり、今のうちに契約しておけば、施行後は改正後の使いやすいルールに乗る形になります。「改正を待ってから契約する」必要はありません。
ご相談は随時お受けしております。
※見積りのご相談は固くお断りいたします。
【ご相談について】
月曜日~金曜日:午前10時~12時まで/午後1時~5時まで
土曜日は、ご予約済みの法律相談のみ承ります。
【ご相談費用】
業務をご依頼いただいたうえでのご相談の場合
ご相談費用は、無料とさせていただきます。
ご相談のみ場合
1時間あたり平日:5,500円(税込)・土曜日:11,000円(税込)のご相談費用をいただきます。

