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家族信託は認知症でも間にあう場合があります
【結論】認知症と診断された親であっても、判断能力があると公証人が判定した場合には家族信託の選択は可能。
【解説】認知症が初期・軽度であれば、判断能力があると公証人が判定する場合があり得ます。
その1.認知症発症後は家族信託できない?
まず家族信託契約を結ぶには「契約者の判断能力の有無」が問われます。このとき認知症の親が「判断能力がない」と判定された場合には、一切の契約を結べません。
これは2020年4月1日に施行された改正民法第3条の2に定められている「判断能力のない人が行う法律行為は無効」が根拠となっています。
認知症対策で家族信託を利用したい場合は、親の判断能力があるうちに詳細な話し合いと契約締結を済ませておくのが確実といえます。
その2.初期・軽度の認知症なら家族信託できる?
「判断能力の有無で決まるなら、初期や軽度の認知症だと家族信託できるのでは?」という疑問ですが、結論からいえば親の状態次第では可能です。これは医師から正式に認知症の診断を受けていても変わりません。
契約の判断基準を決めるのは医師ではなく公証人です。家族信託の契約書を公正証書とする際に、公証役場にて公証人が親の状態や契約内容をチェックします。
そこで「親が契約内容を問題なく理解している」と判断されれば、認知症の親とでも家族信託契約の締結が可能です。とはいえ、少しでも認知症が進行した状態での話し合いや契約締結は、健康なときに進めるよりもトラブルが増えるリスクがあります。
例えば、軽度認知傷害(MCI)の症状の中で影響が出そうな症状は次のとおりです。
☑何度も繰り返し同じ話をする、または質問をする
☑銀行口座の暗証番号・話していた内容を忘れる
☑お金の計算、スケジュール管理、そのほかの効率的な段取りができない
☑親が以前より疲れやすくなる など
「言った言わない」のトラブルや体力的な問題、話し合いの長期化などが予想されます。
また、軽度認知傷害と診断された後は、年間で10~30%の人が本格的な認知症に進行するといわれています。もし契約内容を詰めている最中に突然発症すると、その後の契約が滞るかもしれません。
それでは、どのような状態であれば、「正常な判断能力をもっている」と言えるのでしょうか?
例えば「要介護度」と判断能力は直接にはリンクしません。身体的な介護が必要だったとしても、契約内容をきちんと理解できるのであれば、契約を結ぶことができるからです。同じように、「施設入所中」「入院中」という事実だけで、「判断能力」があるかどうかは判断できません。契約時に求められる理解力というのは、大まかには下記の通りです。
☑氏名/生年月日/住所が言えること
☑契約書に署名ができること(身体的に難しい場合は除く)
☑その契約の大まかな仕組み、メリット/デメリットが分かること
☑どの財産を誰に託そうとしているのかが理解できていること
公正証書で契約書を作成する場合、契約能力があるかは最終的には「公証人」が判断します。当事務所では、委託者本人の状態をヒアリングして、認知症の恐れがある場合は、事前に面談等を行い、様子を確認しております。
ご相談は随時お受けしております。
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