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名義人の死亡による口座凍結はいつ解除されるのか?
凍結された口座が、亡くなった方の口座として再び復活することはありません。
相続人や、遺言によって、もらい受ける受遺者への適切な払戻しができるよう、金融機関所定の書類が揃った時、口座の凍結は解除されます。この「所定の書類を揃える」という作業がなかなか厄介です。
戸籍の他、例えば遺言がない場合には、銀行所定の書類又は遺産分割協議書に、全ての法定相続人の署名と捺印・印鑑証明書の提出が必要になります。疎遠になっている相続人がいる場合、なかなか協力してもらえないこともありますし、相続人が海外にいる場合、領事館まで出向いてサイン証明書や在留証明書を取ってもらう必要があり、手続きに時間がかかります。
また、相続人のうち、認知症などで署名捺印が有効にできない方がいる場合には、その相続人に法定成年後見人を就ける必要が出てくるなど、かなり大変な手続きになることもあります。
必要書類を揃えるのには、手間と時間がかかるということを認識してください。
ちなみに、遺産分割協議がまとまらないまま銀行の場合は5年で、信用金庫や信用組合の場合は10年経過すると、預金口座の払い戻し請求権が時効により消滅してしまうこともありますので、注意が必要です。
死亡による口座凍結への対応策は?どのように引き出せばよいの?
銀行所定の必要書類が揃えば、銀行は払い戻しに応じてくれますが、それなりに時間がかかることは前述の通りです。それまでに葬儀費用等の支払いがあり、どうしても引き出したいということもあるでしょう。
名義人死亡による口座凍結への対応策として、スムーズな引き出し方法を3つご紹介します。(令和元年7月1日から遺産分割協議中であっても相続人の1人からの払い戻しに関する規制が緩和されました。②で説明します。)
時期によって採ることができる方法が違いますので注意が必要です。
①銀行に黙って引き出す【名義人死亡後、口座凍結前】
相続人から銀行に、口座名義人の死亡を知らせる前にキャッシュカードで預金の一部を引き出して、葬儀費用などに充てるという方法です。実際この方法で対処する方は多いのではないでしょうか。
ただし、明確に用途を証明できるようにしておかないと、後々相続人間での争いごとに発展することもあります。そもそもキャッシュカードの在りかや暗証番号を知らない場合にはできません。
また、引き出した現金の使用用途によっては、相続放棄の手続きができなくなる場合もあるので注意が必要です。
②仮払い制度を利用する【名義人死亡による口座凍結後、遺産分割協議成立前】
相続法の改正によって、2019年7月1日以降、遺産分割協議中であっても相続人の1人から、銀行に直接一定額までの仮払いの請求ができるようになりました。
これまでの制度では、死亡後凍結された口座は、相続人全員の同意がないと引き出せない仕組みになっていました。(基本的には現在も同じです)一方で、高額な葬儀費用や医療費の立替えだけでなく、生活費を故人の口座からやりくりしていた家族には、当面の生活にも困るような事態が生じ、問題となっていました。
これらの問題を解決するため、遺産分割協議前であっても、より簡単に一定の限度額までを仮払いとして引き出すことができるように改正されたのです。
この仮払い制度を使って引き出した額は、当該相続人が相続財産の一部を取得したとみなされ遺産分割の際に具体的な相続額から差し引かれます。
仮払い制度を使って引き出せる金額の条件は、簡単にいうと下記のとおりです。
「相続人1人につき、1つの金融機関において
* 相続開始時の預貯金残高×1/3×その相続人の法定相続分
* 150万円
仮払いを銀行に申請した日付が令和元年7月1日以降であれば、それ以前に亡くなった方の口座にも適用があります。
また、何らかの事情により、この上限金額以上の金額を引き出したい場合には、家庭裁判所で遺産分割の審判又は調停を申立てた上で、仮払いを申立てることもできます。(家庭裁判所の保全処分による仮払いの制度)家庭裁判所の判断により、他の相続人の利益を侵さない範囲内で仮払いが認められることになります。
仮払いについてもその使用用途によっては、相続放棄の手続きができなくなる場合もあるので注意が必要です。
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